報告を減らすと、ガバナンスが弱まるのでは?
そう考える人も多いでしょう。
しかし、報告削減の本質は「管理を緩める」ことではなく、
“上司と部下の良好な信頼関係を設計する”ことにあります。
本記事では、効率化とガバナンスを両立させる考え方を紹介します。
■関所の「数」ではなく「透明性」で信頼を担保する
ガバナンスとは、一体何のことを指しているのでしょうか?
経営や経理部門以外の方からすると、
「聞いたことはあるけれど、具体的な内容は分からない」
と感じる方が多いのではないでしょうか。
私もその一人でした。
会社の報告ルールを再設計していく上で、
報告を簡素化・スリム化していくほど、大事になってくるのが、ガバナンスの観点です。
ガバナンスとは、組織や企業における健全な運営を目指すための
管理体制や統制の仕組みを意味します。
近年、日本では創業家が一代で築き上げたオーダー企業や
大手企業の不祥事が相次いだことから
経営者の独善的な行動を防ぐための重要な概念として注目されています。
「然るべき立場の人が、健全な判断をしたか」
「判断に至る過程やプロセスが透明性が有り、管理されているか」
「法令違反やハラスメント、癒着や下請け叩きの起きない仕組みで会社が運営されているか」
私の会社では、ガバナンスを守る為に、報告の関所を沢山設けた結果
誰がどの項目や範囲に対して責任を負うのか、不明確になっていました。
ガバナンスを守るつもりが、透明性が損なわれた状態になっていました。
・決裁項目の明文化(誰が何を判断したのか)
・承認プロセスのシンプル化(プロセスは煩雑になっていないか)
・共有ツールで見える化(決裁内容は共通認識・管理できているか)
・権限管理を明確に(役職と権限が合っているか、誰へどんな権限を委譲したか)
・自動ログで記録や証跡を残す(属人的な管理になっていないか)
“人が担保する”から“仕組みが担保する”へ。
これが持続性のあるガバナンスの形です。
■「ガバナンスを守る」=「下から順番に報告をする」ではない
私が勤務していたのは、所謂大企業で、役職の順番で言うと、以下になります。
「班長」➡ 「係長」 ➡ 「課長」 ➡ 「部長」
しかしながら、実際の報告手順は以下の通りでした。
「班長」➡ 「係長」 ➡ 「課長補佐」 ➡ 「課長」 ➡ 「部長補佐」 ➡ 「部長」
課長、部長の前にはそれぞれ、補佐への事前報告が必要で
報告内容に関しての出来栄えチェックがありました。
この社内報告のプロセスにおいて、ガバナンス上、部長が決裁すれば成り立つとします。
そうすると、ガバナンス上必要な報告と、そうでない報告を区別してみます。
・ガバナンス上必要(1回):「部長」への報告
・ガバナンス上不要(5回):「班長」「係長」「課長補佐」「課長」「部長補佐」
このガバナンス上不要な5回の報告を、「なぜやっているか?」 考えてみます。
「何となく過去の慣習で」
「いきなり部長に報告すると、班長/係長のメンツが立たない」
「班長/係長として、班の報告内容を把握しておく必要がある」
理由は様々有るかと思いますが
日本の企業は縦割りで、下から上へ順々に情報伝達や報告をしていく事が
余りにも美化されているように感じます。
勿論、仕事を円滑に進める為には、ガバナンス上不要であっても
ビジネスマナーとして、中間管理職に報告をしておいた方が良いです。
ただ、私が活動してきた中で感じた事は、ガバナンス上必要な報告と
ガバナンス上不要な報告の棲み分けや整理がされていないまま
過去からの慣習や日本的考えのまま、順々に報告や承認プロセスが設定されていました。
「ガバナンスとビジネスマナーのバランスを保つ」 という観点を持ちながら
報告の階層を見直していく事が重要です。
■まとめ
報告削減の最終形は、“削る”ではなく“再設計する”。
何を・誰に・いつ・どの形式で伝えるかを再設計することで、
効率化とガバナンスは両立します。
スピードとガバナンスの両立。これが、次世代の報告文化です。
報告削減は、効率化と統制の二律背反を超える試みです。
「報告を減らすことで、上司と部下の信頼を増やす」
その一歩が、チームの自律と創造を生み出します。
次の記事では、「重複報告を見抜く3つの視点」を紹介します。
関連リンク
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