第2章-② 過去のやり方を否定する勇気

「これまでのやり方で問題なかったじゃないか」

そう言われた経験はありませんか?

報告削減を進めると、

必ずぶつかるのが“過去を守る力”です。


本記事では、人が過去を肯定したがる心理と、


それに振り回されず改善を進めるための

コツを紹介します。

■人は“自分の決断”を守りたくなる



過去の報告ルールを作った人ほど

それを否定されたくないものです。


それは「自分の判断=自分の価値」

と重なっているから。



また、「人は現状維持したい生き物である」

という認識も必要です。



心理学や行動経済学において

広く知られている「現状維持バイアス」

この言葉は、1988年に

ウィリアム・サミュエルソンとリチャード・ゼックハウザーに

よって提唱された概念です。


新しい選択肢が現れた場合でも

現在の選択肢を選び続ける傾向を示します。


人間は、「将来の得」よりも

「今、損をしない」ことに

強く反応し、変化に伴うリスクを避けるため

現状を維持することが

心理的に楽だと感じるそうです。 



私は、報告を減らす活動を進める中で

この現状維持バイアスを感じる事が

非常に多くありました。


「今まで報告をしていた事が当たり前で

その現状を変えたくない」



だからこそ、

“否定ではなく進化” の視点が必要です。



「あのときの判断は正しかった。

 ただ今は形を変えよう」


そう伝えるだけで、相手の防衛反応は和らぎます。

また、過去のルールや形式を作った際の

考え方や条件が社内に保管されておらず

当時に立ち戻る事が出来ない場合もあります。



過去の判断に固執しすぎずに

”今どう進化させるか”

にフォーカスしましょう。

■“ゼロ or 100”で考えない

報告を「全部やめるか」「全部続ける」かの極論で話すと

対立が生まれます。


私が取り組んだのは、

現場からのボトムアップ型で

報告業務の見直しを行いました。


経営幹部からのトップダウン型で

社内号令をかけて実施する場合は、

100 ⇒ 0 に出来るのですが


私のように現場から改善する場合は、

部分的・段階的に。



 ・回数を減らす


 ・対象を絞る


 ・書式を簡略化する



「減らす報告」と

「残す報告」を一緒に考えることで、

合意が得やすくなります。



維持する部分と変える部分を明確化し

上司に安心感を与えた上で

お互いの合意点を見出していきましょう。


報告業務の削減や

仕事量の断捨離については

古くから効率化の観点としてあったものの


 ・少子高齢化に伴う人手不足

 ・働き方改革

 ・時代の変化スピードの高まり

などによって

その緊急度が増してきた観点だと思います。

もし、上司の方や会社そのものが

高度経済成長期の働き方をベースとした考え方

(人口が右肩上がり=労働力が安い)の場合


報告を削減する=人(時間)の投下を削減する

という考え方は

今までのキャリアで

考えもしなかったような提案になり得るので

部分的・段階的に進めていきましょう。

■小さな成功体験で“安心”を積み上げる

前述した通り、

一度に全部変える必要はありません。

まずは1つの報告を簡略化し、実績を作る。

小さな成功が積み重なると

周囲の信頼が得られ


「あの方法でも問題なかったね」と

上司や周囲の同僚も納得します。

信頼は、実体験から生まれます。



逆に、一足飛びな変化を加えると、

想定外のトラブルが起こりやすく


実際にトラブルが起こった場合には
「やっぱり、過去のやり方が良かったね」

となり、それ以降提案するのが難しくなります。


前提として、過去の判断は

ある程度の確からしさがあるとした上で


一部をアップデートするにはどうするか?

という温度感が丁度いいと思います。

大きな企業であるほど

企業文化が根付き、変化に時間が掛かります。


報告や会議のやり方については

まさに企業文化が出やすい部分だと思います。



抜本的な改革が

受け入れてもらえる企業であれば

素晴らしいと思いますし


それが理想的ではあるものの

私が体験した状況で言うと


現実的には

企業文化を生み出すのが人である以上

人の感情に共感し


一歩ずつ進めていく必要があると思います。


■まとめ

報告削減の壁は、論理ではなく感情の問題。


“過去を守る人”を責めるのではなく


“未来を作る仲間”に変えていく

ことが大切です。



次の記事では

「報告削減とガバナンスの両立」について

解説します。

■関連リンク


🧭 次の記事:「報告削減とガバナンスを両立させる方法」


📝 noteで読む哲学編 → 報告会をやめたら、職場に笑顔が増えた


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